第一回では農薬の「定義」「分類」「メリット」「リスク」など、基本的なものを解説しました。

※第一回はこちらからどうぞ。

第二回では、少し踏み込んで「農薬の登録制度と安全性」「生物農薬」「ポストハーベスト農薬」を解説していきます。

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農薬の登録制度と安全性

農薬は、使い方を誤ると生物や環境、農薬使用者などに影響を与えてしまう危険なものです。そのため、安全性が確保されることが必要になります。

安全性を確保するために、農薬には農薬取締法に基づく「農薬の登録基準」があり、この基準を満たした農薬だけが製造・輸入・販売することができます。そのため、農薬を登録したいと思った製造者・輸入者は、その農薬の品質や安全性を確認するための資料として病害虫などへの効果、人への毒性、作物への害などのデータを農林水産消費安全技術センターを経由して農林水産大臣に申請することが義務づけられています。

検査内容は
薬効の検査=農薬が適切な使用方法で使われた場合、病害虫や雑草の防除に確実に効くかどうか
薬害の検査=農薬が適切な使用方法で使われた場合、使用した作物とその周辺の作物に対して害を与えないか
安全性の検査=「毒性試験」「残留試験」「環境への影響試験」
などを行います。

また、農薬の安全は、登録された農薬について定められた使用方法を遵守することで確保されるため、検査を通過した農薬でも正しい使用をしなければ、害を与えてしまうため注意が必要となります。

生物農薬

生物農薬とは「有害生物の防除に利用される、拮抗微生物、植物病原微生物、昆虫病原微生物、昆虫寄生性線虫、寄生虫あるいは捕食性昆虫などの生物的防除資材」と定められています。(引用:『農薬用語辞典』)

これは要するに、昆虫や微生物などを生きたまま農薬として利用するということです。例えば、農作物に害を与えるアブラムシに対して、アブラムシを捕食対象とするクサカゲロウを利用することは生物農薬を利用していると言えます。

生物農薬は、主に「天敵農薬」「微生物農薬」に分類されます。

天敵農薬は、捕食性昆虫や寄生性昆虫などの「天敵昆虫」を利用する場合と、昆虫寄生性線虫や微生物捕食性線虫などの「天敵線虫」を利用する場合があります。先ほど出したアブラムシの例は「天敵農薬(天敵昆虫)」となります。

微生物農薬とは、害虫や病原菌から植物を守る微生物を生きたまま利用する農薬のことです。例えば、ザントモナス・キャンペストリス(細菌)を利用する除草剤は、微生物農薬に分類されます。この細菌は、芝生の雑草などの茎や葉の傷口から侵入し、水分や栄養を体内に運ぶ導管を目詰まりさせ、最終的には枯死させる効果があります。他にも「殺虫剤」や「細菌剤」も微生物農薬に含まれる場合があります。

これらのように、生物農薬は生物由来の性質を利用しているため、安全性が高く環境への影響が小さいです。そのため、化学物質を利用する農薬に代替することが期待されています。

一方で、対象が限られることや、即効性・持続性がないこと、大量生産に適さないなどの課題もあります。

ポストハーベスト農薬

ポストハーベスト農薬とは、収穫(ハーベスト)した後(ポスト)に使われる農薬のことです。この農薬は保存期間を長くするために、農産物に振りかけたり薬液に浸して使用されます。

しかし、この農薬は実は大きな問題があります。それは、通常の畑で使われる農薬の100倍以上濃い濃度で使われており、農作物の表面に付着し、さらに皮の中にまで浸透する危険性があることです。そのため、水洗いではなかなか落ちない可能性があります。しかも、発がん性や催奇形性が疑われている農薬を使っている可能性もあります。

そのため、ポストハーベスト農薬は日本での使用は原則不可です。しかし、国外からの輸入品に使用されていることが多いため注意が必要です。例えば、国外産の「米」「小麦」「大豆」「じゃがいも」「バナナ」「とうもろこし」「オレンジ」などは、ポストハーベスト農薬が使用されていることが多いです。

まとめ

第一回では、農薬の基本的な事項を。そして第二回では、農薬のついてさらに深堀りしてきました。ここまで理解すると、農薬についてはほとんどマスターしているといってもいいです。

冒頭にも話した通り、農業は環境を相手にしているため、農薬とは切っても切り離せない関係にあります。そのため、農業に関わる人や農業に興味がある人は必ず知っておくべき知識です。

これから新しい農薬も生まれてくると思いますし、有機農業など農薬をほとんど使わない農業も活発になってくると思います。

これからの農薬関連の動向にも目を向けるようにしておくといいと思いますよ。

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